
毎年5月から6月にかけて孵化する赤ちゃんペンギンたちは、愛らしい。
「生まれたばかりの時は、手のひらに乗るサイズです。孵化して2、3日は親が子どもを守るためにずっと隠しているので、私たちも生まれたかどうか、鳴き声でしか判断できません。それからもしばらくは家のなかで過ごして、生後1カ月で1キロぐらいになると、ようやく少しずつ家の外に出てきます」
僕が取材に行った時期は、ちょうど赤ちゃんペンギンが巣から出始めるタイミングだった。田中さんから「運が良ければ、見れるかも」と言われていた赤ちゃんペンギン……。「あ、あそこにいます!」と田中さんが指さした先に目をやると、両親と一緒に外でくつろいでいるではないか! 身体がポテッとしていて、かわいい!
「人間の子どもと同じで、もう少し大きくなって好奇心が出てくると、ちょっとそこまでって出歩き始めます。そうすると、なかには帰る家を間違えるヒナも出てきます。去年は縦並びで2羽ずつヒナがいる家があって、手前の家のヒナ2匹が間違えて後ろの家に入ってしまったんです。4匹のヒナたちは仲良くやってるんですけど、どれがその家の子がわからなくなって、私たちは焦りました」
ペンギンたちは、腕につけたバンドで識別する。でも、赤ちゃんペンギンは羽の生え替わりが早いので、最初は足にバンドをつける。そのバンドも足が細すぎて外れることも多く、そうなると見分けるのも至難の業なのだ。
田中さんによると、こういう大小のハプニングは、日々起きている。それを毎日現場で目撃している飼育スタッフも飽きないだろう。