未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
313

里山の風景を守る小さな工房を訪ねて 革小物を作りを通して、キョンの一生に思いを馳せる

文= 竹田りな
写真= 竹田りな
未知の細道 No.313 |25 September 2026
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#6想定外に決まった独立

2023年3月、二拠点生活を始めて1年ほど経った頃、所属していた会社で革事業を続けていくのは難しいという判断が下された。ようやく形になり始め、少しずつ販売もできるようになったタイミングでの決断に、大阪谷さんは革事業での独立を決意する。

その時にサポートしてくれたのが、修行先の会社だった。両国の工房のリノベーションに伴い使わなくなる裁断機を譲ってくれた。1963年に製造された現役のもので、日本ではもう作ることができる工場がなく、おそらく中古で購入しても数十万円から100万円ほどはかかるものだ。20万ほどかかった輸送量も、半分は負担してくれた。

譲ってもらった裁断機。キョンの皮は柔らかく、ナイフなどではまっすぐ切るのが難しいため、裁断機が不可欠だ。
  • 革に金型を載せプレスすると
  • きれいに切れる。

ところが、今度は場所の問題に直面した。裁断機の重量は1トンを超えるため、民家だと床が耐えられない。そこで大阪谷さんは以前から面識があった知人に相談した。すると、その人がオーナーを務める複合施設「YANE TATEYAMA」の倉庫部分が空いているという。

「当時は、ビルの前面部分しかリノベーションされていなくて、ここは倉庫としてシャッターが閉められた状態でした。でも、『実はもともとここで工房をやらないかって誘いたかったんです』と言われて。当時は私が会社員だったので、諦めたらしいんですよね。今回は独立するタイミングだったので、話はトントン拍子に決まりました」

さらにテレビの取材が決まり、急ピッチでリノベーションがスタート。1月にはプレオープンし、2024年の4月に開店を迎えた。

「独立する時、店舗を持とうと思っていたわけではなくて。でも複合施設に入るなら、お店である必要があるなと。滅多にないようなことがどんどん起こって、こんなにご縁が繋がって応援していただいて、これは続けていかなきゃなと思いましたね」

YANE TATEYAMAの横の壁面には、それぞれの店舗を象徴するイラストが描かれている。
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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