
籠編み教室は、横のつながりを作りたいと2015年頃から始めた。告知は特にしていないが、毎月 隔週の土日に、口コミや紹介で5~6人が集まる。まったくの初心者もいれば、長年の愛好家まで幅広い生徒が通い、その発想や斬新なアイディアから、船生さんが学ぶことも多いという。
そもそも山ぶどう籠バッグは、どのように作られるのだろうか。
山で採った山ぶどうの皮は「原皮」と呼ばれる。この原皮を、まず3ヶ月から数年かけて、乾燥・熟成させると、一番外側の層である「一番皮」がしっかりと定着する。この原皮を濡らして、丁寧に切り裂いてリボン状のひごに加工する。
「皮をなめして加工し、均一なひごを作るのが最も難しい工程で、作品の仕上がりの7割がここで決まります。教室では、加工済のひごをお渡しするので、どなたでも気軽に挑戦できるんですよ」
13時、教室の開始時間になると、生徒やスタッフ、お弟子さんたちが次つぎと集まってきた。工房内の熱気は高まり、エアコンの効きが追いつかないのでは? と感じるほどになった。
私も、少しだけ籠編みを体験させてもらった。水で湿らせたひごを木型に合わせ、2本ずつ飛ばして編む「網代(あじろ)編み」だ。湿らせたひごに触れると、不思議と心が落ち着いた。編み進めると、ピタっと決まる瞬間がある。その感覚は思った以上に気持ちがよく、もし通える場所に工房があったら、絶対に通いたいと思ったほどだ。
隣の席で籠を編む女性は、籠編みが趣味だというベテランさんだ。「ここを見つけるまでは、福島まで編みに行っていました。今は、近くで学べて助かります。籠編みにすっかりはまってしまって、家にはすでに20個くらい籠があるんです」と嬉しそうに教えてくれた。
工房のなかでは、次々と生徒さんから船生さんに声がかかり、軽やかに動き回っていた。